
【中小企業経営強化税制 即時償却】わかりやすく解説!延長したお得な税制優遇制度 a類型・b類型
2025年04月16日 22:11
【中小企業経営強化税制 即時償却】わかりやすく解説!延長したお得な税制優遇制度 a類型・b類型
「即時償却って名前は聞くけど、なんだか難しそう…」 そう感じている経営者や経理担当者の方も多いのではないでしょうか?
この記事では、税制の知識があまりない方でも「なるほど!」と納得できるように、中小企業経営強化税制の“即時償却”について、図解的なシミュレーションや事例を交えながら分かりやすく解説します。
■ 「減価償却」とは?
まずは基本から。たとえば100万円の製造機械を購入したとしても、それをその年の経費として一気に落とすことは通常できません。 なぜなら、設備は複数年にわたって使うもの。会計上は「減価償却」により、数年間に分けてコツコツ経費として計上していきます。
減価償却のイメージ図:
1年目:経費 20万円
2年目:経費 20万円
…
5年目:経費 20万円(合計100万円)
■ 「即時償却」は何がすごいのか?
即時償却とは、対象の設備を購入した年に全額を一気に経費として落とせる制度です。税金は利益に対してかかるので、経費が増えれば利益は減り、結果として法人税が軽くなります。
図解シミュレーション:
【パターン1】通常の減価償却(500万円の設備を5年償却)
今年の経費:100万円
課税所得(利益):900万円
【パターン2】即時償却を適用
今年の経費:500万円
課税所得(利益):500万円
税率30%なら、
通常償却 → 税金:270万円
即時償却 → 税金:150万円(差額120万円)
税金を大幅に圧縮できる、まさに“即効性”のある制度です。
■ 適用条件は?
誰でも・どんな設備でも即時償却できるわけではありません。以下の条件を満たす必要があります。
会社の条件:
資本金1億円以下の中小企業
青色申告をしている法人
設備の条件:
一定の性能要件を満たす設備(省エネ、生産性向上、自動化など)
金額が一定以上(例:機械装置160万円以上など)
「経営力向上計画」の認定を受けた企業が導入する設備
この制度のポイントは「経営力向上計画」とセットであることです。
■ A類型・B類型の違いとは?
経営強化税制で即時償却を受けるためには、導入する設備が「A類型」か「B類型」のどちらかに該当する必要があります。
A類型(生産性向上設備)
一定の性能や新モデルであることが要件
メーカーからの「工業会証明書」が必要
例:自動化装置、最新の製造設備など
ポイント:
性能向上が証明できればOK。比較的導入しやすい。
B類型(収益力強化設備)
導入により収益力が向上することを、経済産業局が認める必要がある
独立した第三者機関による「投資収益性計算書」などが求められる
ポイント:
より高額な設備や、収益効果が大きい案件に適する
書類整備のハードルはやや高め
どちらも活用できれば即時償却または特別償却(50%)・税額控除(7% or 10%)の恩恵が受けられます。
■ 「経営力向上計画」とは?
企業が「こうやってウチの会社を成長させます」という経営計画を作成し、国の認定を受けることで優遇制度が適用されます。
書類に書く内容例:
企業の現状と課題
今回導入する設備とその目的(例:生産性向上、品質改善)
導入後の目標(売上や利益率など)
【POINT】 申請は都道府県ごとに行いますが、書類作成は税理士やコンサルタントのサポートを受けるのが確実です。
■ 実際の導入事例①:製造業 A社(従業員20名)
課題:古い設備により、製品不良が多発 → 手直しコストが増大
対応:最新の自動検品機(700万円)を導入(A類型に該当)
効果:即時償却適用で、当期利益を圧縮しつつ、検品精度アップ → 製品不良20%減、作業時間15%削減
■ 実際の導入事例②:食品加工 B社(従業員10名)
課題:手作業によるパッケージ工程で時間がかかる
対応:自動包装機(400万円)を導入し、経営力向上計画を活用(B類型で審査)
効果:作業時間が3分の1に → 残業代削減+納期遵守率が向上 → 翌年、新規取引先2社を獲得
■ 導入時の注意点
設備を購入する前に「経営力向上計画」の認定が必要
証明書の発行はメーカー依頼が必要(納品書だけでは不可)
償却資産申告にも反映が必要(地方税の対象)
■ まとめ:制度を知っている会社だけが得をする!
この「即時償却」は、経営体力が限られる中小企業にとって、非常に効果の大きい税制優遇策です。
・節税効果でキャッシュフローが改善 ・経営力向上計画で国からの信頼も向上 ・業績アップと採用・ブランディングにも好影響
逆に、「知らなかった」「間に合わなかった」だけで数十万円、下手すると数百万円の税負担差が生まれることも。
■ まず何をすればいい?
設備投資を検討しているか社内で確認
経営力向上計画が使えそうか税理士に相談
設備の要件や証明書の取得方法を確認
■ 最後に
制度は「使う企業」が得をするように設計されています。 逆に「使わなかった企業」には何のメリットもない。
補助金よりもスピーディーで手堅いこの即時償却制度、ぜひ経営戦略の一環として活用してみてください。
そして、制度の有効期限があることもお忘れなく(令和7年3月末まで※2025年3月時点)。
準備は早ければ早いほど有利ですよ。